即興技術論

何が起こるか分からない今の世の中に、即興はあらためて重要な概念である。しかしそれがどのように生まれるかを知らない人は多い。

 

ひとつには「技術史」の重要性があげられる。

「科学でも工学・技術でも、その本質は所与の知識(これを経という)の中にあるのではなく、その知識が作られ変化していく過程(これが史)の中にこそ存在する。知識をつくりだす知識と能力、これが真に求められるものだ。このような知識と能力は経によっては与えられず、史を学ぶことによって得られる。史を無視すると科学も工学・技術も生きた存在ではなくなり、創造力はしぼんで知識すら育たなくなってしまう。経よりも史を、史によって経が生きるのである。」  ー 三輪修三氏 ー

 

もう一つは「ローカル」と「即興」に関係がある。

「新しいムーヴメントや前衛だけ紹介するフェスティバルを開催する必要は、もうないのではないのかという考えがあるかもしれないがしかし、それはローカル・ミュージシャンに刺激を与え、新しい創造の可能性を拓き、国際的なネットワーク作りに寄与する。ローカルにあるということは、独特の地域共同体があるだけに、即興的なアイデアが生まれやすいと言えるからである。」

 

即興は、「歴史的な知の蓄え」がなければ決して発動されない。

とんでもないものを比較すると思われるかもしれないが、技術史とフェスティバルをまるで別のモノと考えるようでは、逆に即興力(現実への対応力)の低下を物語るのである。

 

参考

第2版「自動運転」システム構成と要素技術     保坂明夫 青木啓二 津川定之 著

アヴァンギャルド・ジャズ」ヨーロッパ・フリーの軌跡     横井一江 著