記憶術と歴史の書き換え(忘却と歪曲に抗して)

記憶術で見た「書き込み」と「取り出し」の技術から、実は真の威力を発揮したのは、その想像的な思考ツールの面である。

記憶は精神内面に蓄えた膨大な情報を独創的な仕方で組合わせ、新たな知識を生み出す力を備えたが、内面のイメージの暴走や記憶の書き換えや恣意的な操作というネガティブな面も現前化しかねない状況をも生み出した。

記憶が過去のデータを創造的に再構成することに他ならないということは、そのプロセスに人為的に介入することによって、人々が想起する内容を操作できてしまうということである。ゆえに歴史には、そこで「取られた戦略」としての、「記憶の書き換え作業」が数多くみられる。

 

キーワード:検索誘導性忘却 文化的色彩演出

 

参考

「記憶術全史」ムネモシュネの饗宴     桑木野幸司 著