社会性

推理小説とは逆の物語、それが実在という物語である。推理小説こそ、実在を探し当てるものだと言うが、現実はそうではない。人間社会が探す実在は、「定義」である。

現在の量子論力学が支配している約束事では、「実在」は姿を消して、確率に場を譲らなければならないかが、人間社会は社会的に存在するものを実在と認定するからだ。

「失踪」はその意味で、実在が断固としてみずからを実在であると主張し、計算の餌食になることから逃れる唯一のやり方である。

物理学に対し社会科学における統計的法則の価値は、ますます科学的実証ではなく、「人々からの聞き込み」に、社会的有用性を「実在」概念として誕生させつつある。

経験的確率に確定させるという任務から、現実についての直接的で具体的な証言を与える任務が社会には今後急務だからである。

 

参考

「実在とは何か」マヨラナの失踪     ジョルジョ・アガンベン 著