「同等外交」レベルの普通教育を目指す「幼稚園教育」の足掛かり

開拓使派遣女子留学生の教育に果たした森氏の働きは大きい。しかしその外交はアイデアであり、直接の模倣ではない。「同等外交」への足掛かりを作る「国民教育」である。

「進歩とはどういうことなのか」を日本人のものとした外交官こそ彼である。

森氏が見た米国では、女性の大部分が「教師」として雇用されていた。しかし日本の女子留学生に教育の道は開かれていないという矛盾があった。

森氏には、日本に「普通教育」を普及させるという構想があった。そこで米国女性教師の存在は、日本の「男尊女卑」を超えるヒントを彼に与える。女性が「教育」を受けるのが困難どころか、女性は「教師」になれるという事実である。

それが「父系制」から「母系制」への、豊饒回帰のアイデアである。こうしてまずは家庭内教育の延長線上に母性の愛を置き、幼稚園教育(女性教育者)の実現をまずはよりどころとして、日本に普通教育を構想する手がかりを得るのである。

 

キーワード:母系制社会 幼稚園教育 普通教育 男女平等

 

 参考

森有礼が切り拓いた日米外交」初代駐米外交官の挑戦      国吉栄 著