「以上」を超える

「拡大・成長」の感覚と「定常化」の感覚は矛盾しない。高度成長期には「資本蓄積」があったからだ。しかし現代に「定常」はない。

「物質的生産の量的拡大から精神的・文化的発展へ」と多様変化し、生産の外的拡大に変わる新たな「内的価値」が提起され、定常化を揺さぶる方向へと進化しているからである。

技術は人間を自由にした。だからこそ、技術が進めば進むほど、人間が直面する深刻な問題は、人間自身に来るようになった。

そして、「われわれも未来を想像するのだが、ほぼ、その想像が的中するだろうと思われるくらいの枠でしか、今後の科学は、発達しないだろう」と言われる。

よかれあしかれ、もはや「アメリカの中にアメリカ以上のものを見た」空想には戻れないのである。

 

参考

岩波講座現代 1「現代の現代性」何が終わり、何が始まったのか?

       9「デジタル情報社会の未来」

   [編集委員大澤真幸 佐藤卓己 杉田敦 中島秀人 諸冨徹