人間とは何か

近年「見た目」から判断する営為に距離を置くことの「良識」が逆に、科学的「人種主義言説」に趨勢を与え、先天的形質を重視する遺伝本質主義的な方向に人間を向かわせた。

それが「色から血」へと移動させた論点である。外見を問題にしないという「正しさ」は、遺伝言説により理論武装され、ある人間を「科学」的な「人種」分類システムに則って「有色人」と規定する言説を可能にした。こうして「人種」は、不可視かつ抹消不能な「刻印」となった。

そして人が他者の外見に人種という言説を憑依させようとするとき、それは普通に外見から判断する以上に、外見に「政治性」を与え続けることとなった。

ここから「ひとくくり」に「人種」という言説定義が、外見から内部への人間本質の探究という移行へは向かうことができず、直接「排除」の政治的「ひとくくり」となったのである。

 

参考

「外見の修辞学」    福井崇史 著