「シェア」の歴史的必然

本書は危機管理指南の意味でも秀逸な論考である。

それは「雇用なき景気回復」という「非正規雇用者」の拡大から来た。このことは会社という共同体に属さない個人化した人々を増大させた。ここに社会的な孤立化による危険が拡大した。それゆえにこの雇用の流動化は、必然的により人びとのつながりを求める第四の消費の誕生を早めた。問題の増加が、別の新しい動きを生み出したと言える。

こうして「物の値打ち」(消費)から、今まで価値否定されてきた「表現物の交流」(シェア)にあらたな裏打ちがなされたのである。

 

「想像しうる未来は、いわば進歩の観念抜きの近代文明世界であり、未来志向を前提としない啓蒙主義社会と言えるかもしれない。もちろん進歩は文明の綻びの繕いとして永遠に続くだろうが、人々がそのことを現在を生きるための前提とせず、進歩があろうがなかろうが、現在を充実して生きることのできる文明の到来が、いま期待されるのである。」

             「世界文明史の試み」山﨑正和 2011年

 

参考

「第四の消費」   三浦展 著