価格革命

本書は秀逸である。

16世紀、ヨーロッパによる新大陸の征服は、「価格革命」であった。ヨーロッパは寒冷な気候ゆえに、中東・インド・東南アジア・シナなどの農産物(奢偧品などの贅沢品)を生み出すことができなかった。

ゆえに羨望の「コロンブス交換」は「布教・黄金・奴隷」を生み出し、家畜化(ヒツジ化)という「先祖伝来の手法」をよみがえらせてしまう。「文明と奴隷の等価交換」(布教活動と黄金収奪)である。「文明をあげる代わりにクリスチャンになりなさい」という「清貧思想の商品化」による黄金収奪である。

こうして新大陸からの金銀は、「通貨供給」を増大させ、「物価上昇」を加速させ、凶作、戦争、金融危機へ導いて行く。この「物価高騰」は、「蓄積手段」として貨幣ではなく、「支払い手段」としての貨幣に堕ち、生産が低い供給能力にさらなる限界を与えた。だがここから、価格革命による危機が、イノベーションたる産業革命(産業資本主義)のヒントになる。

しかし、イギリスの「ヒツジ大量飼育」による羊毛・羊毛製品の生産もまた、「地理的気候的条件」が引き金であったことは、皮肉な巡り合わせであると言える。

その言葉には「土地の貌」が映し出されている。言葉は「季語」とともに立ち上がる。

 

参考

「新ヨーロッパ経済史」Ⅱ    中川洋一郎 著

「季語体系の背景」   宮坂静生 著