聖ゲオルギウスと「黄金伝説」

 十一世紀ジョージアで、聖ゲオルギウスの竜退治像に大きな変革が生じる。竜退治伝説は王女救出劇となり、それは画像化され、十三世紀には「黄金伝説」としてヨーロッパ中に広まる。ルネサンスの芸術家たちはこれを格好の題材と見る。聖ゲオルギウスは殉教者やキリストの戦士としてよりも、王女救出の竜退治者として、今日まで絶大な人気を博す。

そして、後に「ノミナリズム」が主意主義として「新しい信心」をして確実に変革(宗教改革)して行くのは、この王女の「拉致」体験がはじまりであると思われる。絶望に陥れる拉致を脱自存立(ヘーゲル)に変容させてゆく神秘主義は、こうしてカール・バルト氏の実存主義神学に大きな影響を与える。

 

キーワード:教条主義⇒拘束(精神的拉致)からの自由⇒ユマニスム

 

参考

「聖人と竜」    高橋輝和 著

「二つの宗教改革」   H・A・オーバーマン 著