「流出」概念詳説

本書は秀逸である。

「ミュージアム」(公開)の思想が、「流出」概念に触れると、国家の「領土」や「国民」をめぐる境界線が創出・可視化されたり、政治の意に染まない「分断」が隠蔽・不可視化される。

その意味で「パンダ」は国宝である。国家のコレクションには「保護思想」が生まれた。共有財産という生命主義(人・動植物)は、移動や破壊から守られねばならない。流出ではなく、外交が移動を保障することで、この人民政治は根幹を持つ。パンダ外交はその意味で生命尊重と分断を明確に意識してきたのである。

 

参考

「国宝の政治史」   家永真幸 著