「複雑さ」の提示

「複雑さ」には大いなる逆説的「ヒント」がある。

 

歴史上、メロンは危険な食べ物だった。「存在の大いなる連鎖」から、メロンは「冷たい」「湿った」性質に位置づけられていた。そこから「熱い/乾いた」生ハムを「合わせ」、バランスをとり、かつ「前菜」という一番安全な「順序」で、今も食べられている。

 

スイカは南北戦争時代後、スイカ腹として人種差別のイメージに使われた。アフリカ系アメリカ人を貶める時の、格好の材料とされた。バラク・オバマ氏がアメリカ大統領に選出された時、ホワイトハウスの芝生がスイカ畑になっているという「茶化した」写真付きのメールが拡散した。

 

道徳的な話や、善悪や貧富の対比にもよく使われたことが「複雑さの起源」である。

 

「雑草」はまさにジョン・グライム氏のいう、「攪乱依存型」の植物である。攪乱がなく、資源に恵まれた生態的立地では、たとえ雑草の繁殖体が散布され、そこで芽生えたとしても、競合力の優る種によって排除されてしまう。その意味で農耕(短期間の植付・収穫の繰り返し=攪乱頻度)は、植物にとって「自然界最大規模の攪乱」と同じであると考えられる。なぜなら農耕がはじまる前の雑草は、植物種との競合が少ない大河川の氾濫原や土砂崩壊地あるいは野火がたびたび生じるような場所を起源としていたからである。

 

参考

「メロンとスイカの歴史」   シルヴィア・ラブグラン 著

生物資源から考える 21世紀の農学第3巻 「植物を守る」   佐久間正幸 編