コモディティ産業化からの離脱

本書は示唆的である。

高度成長期になると鉄鋼業者の「自家用空気分離装置」の増設により、酸素総生産量に占める酸素専業メーカーのシェアは一挙に低下する。これが、鉄鋼業という巨大な消費者の前で、酸素専業メーカーでありながら「限界産業」と言われた所以である。

つまり最盛期、酸素工業(専門)のコモディティ産業化は、高付加価値をつけられる産業ガス産業(包括的)に変容しなければならなかったのである。

現在産業需要の焦点の一つとして「水素」の登場が挙げられるが、時代は水素専業メーカーに後戻りすることもできなければ、既存の産業の延長線にあるわけでもない。たぶん更なる総合の枠組み(統一的)が水素には必要であることが示唆される。

 

キーワード:産業連関 業界構造

 

 参考

「見えない産業」酸素が支えた日本の工業化    沢井実 著