ハードルを引き下げたものは何か?

本書は秀逸である。

「贈与」という文化から、贈答儀礼という「権力」(忠誠)に端を発し、それはモノから「債権」という「交換論」に発展して行く。債権はもともと「顔の見える相手範囲」で行われていたが、やがて「文書」に重きを置く顔の見えない交換(第三者への譲渡)に移動し、多くの人びとを無関係に巻き込んで行くのである。ここで、もとは人格に固着しなければ動かない社会は、債権・債務において、人格から切り離され、極限まで非人格化されて行くのである。

 

参考

「交換・権力・文化」ひとつの日本中世社会論    桜井英治 著