「完全敗北」の魅力と平和(ヨハネス・コメニウス)

「完全敗北」に魅了される。それが「普遍性」である。そこにある心の平和は計り知れない。期待や愛情を持ってみると、対象が思ってもみなかった多様な姿を現わす。

コメニウス氏の「パンソフィア」は、実念論唯名論の総合という意図を反映している。彼の「技術は自然を模倣する」とは、「事物に先立つ普遍」、「事物における普遍」を経た「事物のあとの普遍」として捉えられている。これは「先立つ」という「事前」が、理論から応用へと展開していく過程であることを示す。「技術」とは、自然の探求において経験的に見出された科学的法則を応用したものではない。物体世界とイデア界は平行関係に想定された理念レベルの統合である。可能性は感覚を超えている「光の道」である。

学び知ることは、身体の全体と一緒に器官を回転(転向)させるのでなければならない(器官なき身体)。この「向け変え」の技術こそ「回帰」(還相)である。

 

「神は死すべき者としての人間の共謀をかき乱そうとされ、相談の手段を最も効果的に妨げようと、諸言語を入れ込んで混乱させてしまわれた。」

 

人間社会の絆は言葉であるから、この絆が破壊されれば必然的に社会そのものが解体される。ゆえに言語の増大は言語の多様性であり、われわれの軽率に対してくだされた罰なのだ。「言語の混乱」と「言語の透明性」はこの意味で「学識」である(バベル的状況とカフカ「城」)。

 

キーワード:ジャック・デリダ ジル・ドゥルーズ ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ

 

参考

ヨハネス・コメニウス」汎知学の光    相馬伸一 著