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山﨑正和氏と文化財団の現在

「世阿彌」は、左翼の側からも新人取り込みとして考えられたが、山﨑氏本人も言うように、観客組織の労演(勤労者演劇協議会)に身を委ねた。多くの観客を確保するために。しかし彼はブレヒトのような「叙事演劇」として、観客を組織的なものに誘導するのではなく、「異化効果」で観客を突き放し、考えさせることも可能であるした上で、この選択をしている。ブレヒト氏のこの手法は、スポンサーを騙す仕掛けであった。

パトロンの目論見を利用し、観客本位の演劇を可能にする仕掛けは、こうして山﨑正和氏により誕生した。

経営者はスターを必要としない。スターに独り立ちされ逃げられては、その舞台を与え育てた意味を失う。ゆえに「役者」は「組織」のための「役割」として機能させられるケースが多く、それは世の中の革新と自立と独立の足枷になっていたとも考えられている。

 

参考

「舞台をまわす、舞台がまわる」山﨑正和オーラルヒストリー  御厨貴 阿川尚之 刈部直 牧原出 編著