ブロックチェーン(視点)

本書は名著である。

数々の逆説を提示する視点、それがブロックチェーンの技術思想である。

「セキュリティ」の偉大さが、すべての上位にあると知られるためにはかなりの時間が必要であった。以前から知られていたことが、「ビットコイン」と「フィンテック」で、はじめて皆のものになったということである(ノーベル賞クラス)。

本書は現代、信頼できる「第三者」を介すということは、直接取引より信頼性が低いことを示した。これは中央集権的権威評価に虚偽があり、単なるデータ集積であり、プライバシーを侵害すると。

「分散自律型」という「信頼プロトコル」の発見は、インターネット上の「人の権利」と「アイデンティティ」を「復権」する。そしてその「合意形成」には「貨幣の資本への転化」(資本主義やポピュリズム民主主義)のような嘘がない。ブロックチェーンの解釈はその意味で短絡的に新しい金融工学ではない。

「暗号技術」を利用した高度な「セキュリティ」が備わっていることに嘘がなければ、逆に「プライベート取引」こそが「パブリック」(公正)であることを示す。「他者」に「二次利用」されることがないからだ。そこでは、データ集積を排除し、データにタダ乗りする者を排除する。そして「個人取引」という「完全利己的」な行為が、逆に嘘をつけないがゆえに、「全体の利益」になるという理想的なシステムとなる。

つまりこのテクノロジーはこれから、「企業」や「政治」の会計・予算・マネジメントの嘘を暴くのである。こうして「IOT」(モノ)もさらに動く。仲介とデータが嘘をつけないようにするからだ。資産価値は嘘をつけなくなり、財産の所有権は守られる。

自由は「プライバシー」の上に成り立っている。データ利用はそれを侵害する。信頼のプロトコルは「AI思想」と「ビッグデータ」利用の大前提に挑戦する。つまりデータ収集する詐欺のフリーに対し、嘘をつかないネットワークを構築するのである。便利さのアプリ、嘘をつく仲介(検索)、を経ないほうがよほど効率的なサービスであることを将来は証明する。

つまりブラックチェーンの「合意形成メカニズム」は従来のものを超越した見方を可能にする。知である脆弱で攻撃されやすい「データベース」が存在しないからである。こうして中央集権とヒエラルキーは解体される。それは将来、確実に人間を守る技術なのかもしれない。

 

参考

「ブロックチェーン・レボリューション」    ドン・タプスコット アレックス・タプスコット 著