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時代の宣告

本書は「戦争劇場」という概念から展開される。太古の昔から、人間は自分の中の非常に恐ろしい感情に対処するために、「集団で行なう儀式」を用いてきた。それは踊り、歌、神話の再現を含む「宗教的儀式」から発達して、近代は市民生活において「演劇」が重要な役割を果たす。

ここから「ギリシァ演劇」は、「戦闘帰還兵」にとっての「再統合の儀式」だったかもしれないという考えが生まれる。戦闘帰還兵は自己を取り戻すために、入れ代わりとしての演技を人生に必要としたのかもしれない。シェークスピア時代のイギリス(プロテスタントカトリック)、モリエール時代のフランス(議会と絶対王政)、そしてスタニフラフスキー(ロシア革命)とベケット第二次世界大戦)の時代。人格の演劇的死と再生(役割と自己変容)はいつも「人間関係の再生」を「民主主義」として彷彿させたのである。「争い」が絶えないかぎり、「戦争体験の浄化」(総称)はいつの時代にも必要されたのである。

しかし今、能力と集団の絆を育む手段である音楽や演劇や美術やスポーツは、学校から奪われている。もし人がシェークスピアを「宣告」されたら、それは台詞(言語)を記憶することでは終わらない。自分が感じ理解し、客たる他者に反応を見ながら伝えなければならない。

 

参考

「身体はトラウマを記録する」脳・心・体のつながりと回復のための手法 

 ベッセル・ヴァン・デア・コーク 著

「悲劇の誕生」  ニーチェ 著