「選良者と治者の比」(収入の満足と仕事の満足の比)

選良者と治者は、マス競争社会がもたらした巧妙な選抜システムのなかで、治者を可能にする社会的条件だけを失って行った。「自分を超えた何ものかが必要な治者」の再生産は、今後いかにして可能なのだろうか。

「最大多数の最大幸福」とは、このマス競争社会が経済有益性としての選良者を目指した「受益客体」のことではなく、「行動の自由」という能動的な「権利の人権」を主体として目指したことに由来する。経済から法にいたる「権利」は、法律が制定するものであり、まさにこの「権利保持」が主題になることが「有益性の原理」であったからだ。

自由主義は無政府主義ではない。

「全員が全員から受け取る助けによって繁栄する」交換社会を、維持発展させる統治機関をいかにつくるかということは、「選良」の経済学でなく、「治者」の政治経済学の比だからである。

 

参考

増補版「日本のメリトクラシー」構造と心性     竹内洋  著

「哲学的急進主義の成立Ⅲ」哲学的急進主義    エリー・アレヴィ 著