読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

後期クイーン問題

本書は秀逸である。

本格ミステリーは、19世紀欧州の「科学革命」を根拠とする。「謎⇒解決」が絶対解明される。この感動は科学のものだ。しかしこれは時代とともに、ある「縛り」を持たせてしまったと言える。有機的な集合社会における複雑で流動的な難問は避けさせる傾向を呼んだ可能性があるとの指摘である。唯一無二の結論は、その「前提」からして、現代揺らぎ始めている。これが「後期ェラリー・クイーン問題」である。こうしてそれは前提無き「型」の工夫となる。密室至上主義や無条件的接近の傾向は、現代の科学捜査をも困らせる。「無限退行・無限懐疑的」な、結論の無い流儀に取って代わられたからである。この型は数学基礎論における「ゲーデル的」な解決回避でありながら、型としての奇行趣味と扇情発想に、大挙して足並みをそろえそうな危機を、兼ね備えているのである。

 

参考

2017第11号「本格ミステリー・ワールド」   島田荘司 監修