所領知・遺伝学・輸出

本書は読み物としても歴史に吸い込まれる。

経験値としての所領知と輸入科学としての農学は葛藤する。実用性は土地を離れ、輸出へ向かう。ここに品種改良の遺伝学研究と大学が展開する。食料輸出と洋風化は定着することなく移入だけが図られた。

対象となる期間を限定してしまえば所領知と純粋科学の緊張関係はないかのように思われるが、その歴史的展開を考えるなら、共時(遺伝子情報)よりも通時(遺伝)の発現統計学と考えた方がうまく行く。

本来農業科学者は再び「土地管理人」となることが道筋であったからだ。土地管理人としての逆流は、藩=所領(の集合体)という強引な結びつきをもつくったのである。

 

参考

『農の科学史』ーイギリス「所領知」の革新と制度化     並松信久 著