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子どもが医療に参加する権利

本書は秀逸である。

医療は、子どもにおいては、生命・生存に留まらず、発達にも影響を与えるものとして重視される。子どもが医療に参加するとは、子どもが自己に影響を与える医療の決定過程に含まれる。この国内法にない高い水準の規定を持って近づけることは重要な意義を持つ。そしてこの社会参加においては、「子ども・青年自身が社会に役立っているという自覚と誇り」を実感しながら、社会を「生きる」という肯定的な生の立場に立って、改革発展させてゆく主体を育てることを意味する。

高齢化社会における高齢者医療が、ただ義務のように税金のように、青少年になんの意味もなくのしかかるより、子どものころからの医療意識による、生の社会変革の覚醒が、弱者救済や平和意識、なにより貢献意欲と若さの役割を育むほうが、社会的には有利である。

日本の医学教育制度をめぐっては、診療が人間の営み全般に関する行為であるにもかかわらず、自然科学の側面である医科学に偏重した教育がなされてきた。

いまこそ「子どもが医療に参加する権利」は、「社会的に不利益を被ってきた人々の権利を重点的に保障すること」で実質的な「平等」を達成しようとするだけでなく、子どもの自分でも命がある限り社会に役立つという「生き生きとした現在」を覚醒させる方向で改革されることをいまは切に願うばかりである。

 

参考

「子どもが医療に参加する権利」子どもの権利条約に基づいて  山本智子 著