普及と拡大(隠された次元とその謎)

本書に、アメリカ合衆国大統領「選挙の後」の正直な感想を聞いてみる。

納税期限を守ってもらうための簡単な工夫は、「ほとんどの人が税金を期限までに払っている」という事実に注意を向けさせるだけでいい。このことは「ほかのみんながやていることをする」のが、正しい判断を下すための大変効率的な方法になり得ることを示す。他の人たちと「結びつくこと」は同時に、「承認欲求」を満たすからだ。

「省エネは環境に良い」というメッセージでは、ほとんどの個人に省エネはできない。「近所の人の多くがすでに省エネに取り組んでいる」というメッセージの下でのほうが、省エネは確実に実現(集団化)できる。これは、ある程度の「普及」が急速な「拡大」につながる好例である。

「みんながそうしている」ことが、より大きな努力を要する認識や思考にしばしば勝ってしまうというこの事実は、人間にとっては危険と安全の両面を持っていると言える。

選挙開票後、当選者を支持した者と、落選者を支持した者の間にはじめて、「ほとんどの人」というまとまりが、当選支持者には与えられる。しかし今回その次元は隠されていた。「事前」にではなく「事後」に直面する。今後この「ほとんどの人」と、そうではなかった人々の心理的差異がいかほどのモノとなるかは、なかなか面白い側面を持つ。初めての経験である。

 

 キーワード:平等とは「予測」されたある程度の集団の規模がなければ実現できない代物である

 

参考

「影響力の武器 戦略編」小さな工夫が生み出す大きな効果 

 スティーブ・J・マーティン  ノア・J・ゴールドスタイン  ロバート・B・チャルディーニ  著