物質と物理学

たぶん我々は、かつて同じところに居合わせたはずだ。演奏者と聞き手が同じ空間を共有していたように。

しかしある時から演奏者が「不在」であるにも関わらず、音楽はどこでも聞き手のまえに突然現れるようになる。この「不在の現前」は「分離」ではあるが、「記憶・記録」された「メディア」という存在の誕生による。これが初代レコードという「物体」(メディア)の出現である。

ここに「本」との違いを見ることは、「物質という延長」(デカルト)を程よく理解することである。なぜなら「文字」から物理学は生まれないが、「音楽」からは「物理学の原理」が生まれたからだ。

 

参考 

「138億年の音楽史」   浦久俊彦 著

エジソン 20世紀を発明した男」   ニール・ボールドウィン 著