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承認=再認(人間の条件)

承認は単なる受動性であるから、「承認=再認」という新たな創造を、相互関係の「間」で「社会権」とすることが今回のテーマ「承認の行程」である。そして「間」から他性をあらたに発見し多様性が生まれる事と、分業的歯車になり仮面をつけることの違いが、倫理的問題解決(無差別・差別)にもつながって行くことを「再認識」する。

つまり相互承認は自己自身にも変革を起こす可能性があるとが示唆される。「交換の中心的人物たちの間」で、相互作用ゆえに自我と他者との非対称性が解消されるのである。相互関係とはもともと他と他の関係であるから、どちらを自とするか他とするかは二項対立的なものではなく、合理的な反転の問題に過ぎなくなる。

ここから「生きる権利」を行使するのではなく、「生きる義務」を「信頼する」という社会が直観的に開かれていく。ここで初期の共同体の最小概念は分業の意味で「手続き主義と目的論」として「関係概念」の豊饒さが見直される。

関係が歯車になると公的な地位でさえ個人の責任に仮面をかぶせ合理性を優先させることになる。つまりそこには承認という受動性だけがあり、自己がない。ゆえに創造と道徳は、他者との関係や影響や配慮にはなく、純粋に自己(自己への配慮)との関係であることになる。

「私にはそんなことはできない」ということと、「私にはそれならできる」という自己の現出(実存)が、孤立と孤独という伏線にささえられ、自己の他者化(多数性という気づき=独立)になるのである。こうして他者のためより、他者とは違う自己を示すこと(自己の他者化)が、関係の中から道徳と創造を正しく推進するものとなる。

そしてそこにあるのは「人間の条件」たるキリスト教に固有の「無世界性」である。行為を為す者は、単独で神と向かいあっていなければならないのであり、他者のまなざしのもとで善行をしてはならないのである。

 

参考

「承認の行程」   P・リクール 著

「ヨーロッパ意識群島」   A・フィロネンコ 著

「正義の他者」実践哲学論集   A・ホネット 著

「責任と判断」ハンナ・アレント  ジェローム・コーン編

「監獄の誕生」   ミシェル・フーコー 著