カミング・ホームとボウエン・コート

「第三者の影」は、ゴシック・ファンタジーとして再構築される。この第三者は他者であるが、時代という存在でもある。

誰も居ないはずの家に「時代」という「廃絶ゴシック」が覚醒されるのである。幽霊になるのは人間だけでなく、屋敷も幽霊になる。そこには愛する者と家族が記憶に相続されているからだ。有閑階級の家事や家庭教師や庭師が雇用・被雇用にも浮上していた第三者の影もある。

場所と過去に対する感性から湧き出るものが戦時ゴシックには確かにある。ここにゴースト・バスターが正常に覚醒される。背景に潜む喪失感は「家」の役割を強調する。共鳴しあう邸宅と住人というテーマに、第三者の感性が彷徨する。世代の精神的歪みは、抑圧された若い世代の自我である。異質な他者との連携の可能性がいまも模索されている。

 

参考

「エリザベス・ボウエンを読む」   エリザベス・ボウエン研究会 編