人工物の世界(倫理と欠陥)

少々風変わりな論証をしてみる。

 

人工物の世界「コレクションとアブダクション」、この吉川弘之氏の本論によれば、ほとんどは倫理的に良いと思われる「言説」のコレクション(寄せ集め・あるいはリンク)で、その「仮説性」を隠していると言う。ゆえに人工物のすべては「反証可能」なアブダクション(社会的推進力)にすぎないと。

 

システムが能力を発揮するにはすべてが協調し機能しなければならないが、それが上記のような単なるコレクション(過剰評価)である場合が多い時、それは思わぬ停滞を起こす。アメリカはソヴィエトのデータリンクに何度も侵入したがそれをコレクションとして読む試みに失敗した。ゆえにそれは同時に、アメリカとソヴィエトの双方に「コレクション癖」があったことを意味する。トルカチェフ文書は、このコレクションのリンクがソヴィエト自身にも長年気づかない防衛の弱点・欠陥を隠したままでいたことをはじめて示した。つまりトルカチェフ氏は、このデータリンクそのものの虚偽(自己欺瞞)を解釈し直したところから、相手の弱点を「情報」として見出すことに成功したのである。そして今、一つ一つの情報が何を意味するのか、ほぼ解き明かすことができた。その上、いまだに部分から切り込む際に、データリンクのコレクション性に惑わされぬ方法として。この考察は標準的に使われている。

 

参考

「知のモラル」   小林康夫船曳建夫 編

「最高機密エージェント」  デイヴィッド・E・ホフマン 著