純粋数学から応用科学誕生(確率論の近代的反転)

本書の通底音を聞き取る。それは「確率論」である。オイラー氏から始まり、コルモゴロフ氏で終わろうとするからだ。位置解析学からトポロジーへとつなぐのも、この「確率論」である。

 

流れは下記に示す。(純粋数学の確実性から応用科学の不確実性へ)

グラフ理論オイラー)は位置解析(ライプニッツ

微分は関数の極限(ダランベール)

*「確率の解析的理論」(ラプラス

*熱の拡散の理論(フーリエ

*「整数論研究」(ガウス

*純粋数学であり応用数学である「複素解析学」(コーシー)

*楕円関数は楕円積分逆関数(アーベル)

*「光線系の理論」は量子論へ(ハミルトン)

*円関数は実数値関数であり、楕円関数はトーラス上で定義された複素数値関数(リーマン)

有理数の作る順序集合から「切断」を取ることによって実数を構成(デデキント

*「変換群の理論」は「微分方程式の理論」と直接的関係(リー)

有理数のコーシー収束列による実数構成法(カントール

*「多様体の一般的理論の基礎」では数全体と言う概念の既存の限界を超えた拡大を見る(カントール

*「ブラウン運動」を研究対象に(ウィーナー)

 

確実性の崩壊から不確実性に到る過程こそ、「確率論」が示す豊饒の海である。それは多様性を示す。

ジェロラモ・カルダーノ氏は賭博師であるが、彼は今日では「代数学」の祖である。そしてすでにそれは投機の時代であった。不確実性が意味したものは、数学から物理学への移行である。それは数を切断した結果である。本来投機はリスクを取るものではなく、リスクをより少なくする目的でおこなうものであることがこうして明確になる。それが確率論に支えられた「科学の本質」(多様性の拡張)である。

 

 参考

「数学者列伝」ⅠⅡⅢ オイラーからフォン・ノイマンまで I・ジェイムズ 著