社会的加齢理論(継続性理論の本質)

社会学的加齢理論は、継続性理論が中心となる。しかもここに現代学術の目指すべき先端がある。これは矛盾ではない。円熟の意味があるからだ。

まず生きて来た中でのサクセスフルエイジング理論を分解する。活動理論と離脱理論である。成人期以降はパーソナリティ(心)は安定しているが、それゆえに過去の形式に縛られ、行動様式において加齢という身体に従って適応を試みることが難しくなる。高齢者は退職や死別などの大きなライフイベントを物理的な意味で生活継続はできない。ここで個人の内的構造と外的構造に分化する継続可能性が現われる。たぶん内的可能性も外的可能性も「ポジティブ」を選択しなければならなくなる。自己が分裂せず一貫性を保つ上で、選択最適化保障理論(SOC理論)や老齢的超越理論がこのポジティブな姿勢とともに現出する。

まず過去は幸も不幸も整えられ、美しく満足行くもの(良い経験)として精神に書き換えられなければならない。生産的老後(老い)においては、本来の生活生産性(経済力)が望めない以上、そのプロダクトはボランティアやケアに向かう。それは自己に対してではなく、「自然」や「他者」に対する新しい超越的プロダクトである。ここに加齢というネガティブが影響する余地はない。自己の事ではない「コト」にその意識は豊かに向いているのだから。医学的サクセスフルエイジングにもこの「ポジティブ」な超越的幸福感は重要である。

また知能の二重コンポーネントモデルにおいては、身体の若さに頼るメカニクス(基本的な情報処理)に対し、加齢はプラグマティクス(事実の手続き処理)の「柔軟な発想」(創造性)がより必要になるからである。

 

 参考

「よくわかる 高齢者心理学」 佐藤眞一/権藤恭之 編著