政治(分断社会)

本書は「明治社会のあり方」からはじめる。

当然のことながら市場経済社会においては、努力したにもかかわらず失敗する人間は常に存在する。しかし通常道徳、すなわち「勤勉に働き、倹約に努め、努力するものは成功する」というイデオロギーを「前提」とすると、経済的な失敗者は、そのまま通常道徳の実践が十分ではなかったとみなされる。それでは経済的な失敗者は、そのまま道徳的な失敗者となる。これは当然不条理感となり、そしてここからニヒリズムへの転化が歴史に堆積されてゆく。

しかしもしここで自分が間違っていなければ、この明治社会のあり方は「獣の世」として批判できる視座を獲得する。「努力は必ず報われる」という建前、成果主義は、ただ同じ器のなかで勝者と敗者を存在させようとしている社会のあり方、狭い器、に過ぎない。

ここに、「働く人々」の分断と、「住宅」がもたらす分断、が生まれる。

学歴が高い者が道徳的であるとか、経済力のある者がより道徳を「実践」できると言う価値観(権力主義・権威主義)から選ばれた政治家は、「優生学」に近い現代政治の生い立ちである。

誰でも政治が語れる理由は、実はこの逆説的「前提」にある。

 

 - そもそも政治は分配的正義(自己「成長」)の実現のためにあるのか? ー

 

参考

「分断社会・日本」なぜ私たちは引き裂かれるのか   井手英策 松沢裕作 編