政治参加と最高裁(違憲審査制度と民主主義の創造)

本書は秀逸である。テーマは「政治参加に引き戻す」である。

 

最高裁は、「憲法に対する責任」を持つことに特質がある。民主主義の軸は「参政」であるから、憲法はその責任を果たす上で、「政治参加」が低迷することに対し、憲法上の責任を持つ必要がある。現行の政治に民意が無く、参加低迷を強いるような方向性が現われれば、その政治には民意の反映がなく、民主主義の推進を維持できておらず、「違憲」であるということになる。

 

政治に引き戻せること、それが民主主義の均衡・創造(バランス)を保つことであり、そこに法の安定性と法の支配への信認がある。つまり民主主義は、憲法が作り出した政府に参加する「公衆の存在」を前提にしているからである。

 

現代が、「からの自由」から「への自由」を併せ持つ「公的自由」ないし「積極的自由」を持つ以上、民主政治への参加と自己統治に社会形成が求められる以上、政党が大差で勝つことに民意はなく、「いつも投票率を高い水準で維持できる政治」であることが、「民主政治と民意を憲法が保障する」。ゆえに政党の大差(独裁)への傾斜は、時に「違憲」であることもあり得る。

 

最高裁は「最終的な審判者」であり、憲法ないし民主主義の最大の特徴である違憲審査制度が、実は、「公衆の信託」という民主主義の原理そのものから生まれたことを、再び理解する時がいま来ているのである。

 

参考

「アメリカ最高裁判所」民主主義を活かす  スティーブン・ブライヤー 著