超個体(スケール効果と集団的知能)

スケール効果の中で「独裁者」を集団知能と勘違いしてしまった歴史的経緯をいま考察する。

 

スケール効果は人間に想像力とフィクションを与えて来た。それはそれで素晴らしい効果を上げた。それが集団知性の出現である。尺度(スケール)の問題は、科学的想像力と集団知性を同時に生んだのである。

1、動物の長さが2倍になれば、その筋力(筋肉の断面、つまり表面積に比例する)は4倍になり、重さ(容積に比例する)は8倍になる。スケール限界を超えると、強くはなるが、それ以上に重くなってしまうが、アリは自分の体重の2,3倍以上のものを運ぶスケール効果の恩恵を間違いなく「物理的」に受けている。これは文学(ガリヴァー旅行記)や政治(アリストテレス)のようなフィクションをも駆り立てた事実だ。

2、放射による熱の喪失は表面積に比例し、長さの二乗にしたがって変化するが、生体による熱の生成は容積に左右され、長さの三乗に従って増減する。呼吸は、空気の出入りする面積と体の容積に関係するが、その時の酸素濃度とも逆説的に関係する。

3、同じ形状は、無限に異なるスケールでつくりだすことができる。

4、オウィディウス氏「変身物語」は「昆虫の神学」とも思える。

5、しかし相似にも隔絶があり、固有のスケールがある。

6、クモの巣の不思議を理解するアメージングは、等間隔の螺旋を定義したアルキメデス氏であり、対数螺旋を定義したヤコブ・ベルヌーイ氏だ。

7、単独の後世生物と人間社会の中間に位置するのが「超個体」である。アリやミツハチは個体の中に頭脳としての「超個体」(役)を発現したが、超個体の頭脳は「社会全体」(通底)が射程である。

8、こうしてスケールは「超個体」を発現し、集団的知能を「構成」した。

9、そしてこのスケール効果は超人ではなく、ネットワーク社会(情報科学)を生んだ。「バーチャル」もまた、フィクションに続く新たな創造力となったのである。

 

参考

「昆虫の哲学」   ジャン=マルク・ドルーアン 著