創造的破壊者

我々は、早く対応処理するために「行間」を補い、「スキーマ」という「物語づくり」で生活に対応している。しかしその学習法は、個人の経験という「主観」からできたものだから、すべては「思い込み」である。

しかしスキーマという思い込みは、総合的で予測も速いから、学習の構えとしては、この「思い込み」こそ必要なのである。しかも自動化されているから早いパフォーマンス能力をも示す。ただこの思い込みは、あくまで個人の経験から出た自分に役立つ「生きた知識」という主観である以上、間違いをおかす。しかし現実にはこの「思い込み」(仮説)を数多く立ち上げ、それが「思い違い」であると数多く修正する人こそ、「創造的破壊者」(科学的発見者)と言われる人である。たぶんモンテカルロ法こそランダム・サーチのはしりであるように、この「ゆるい」やり方のほうが、高速かつ正確な可能性があるからだ。その意味でサーチエンジンとソシャルネットワークは新しいアナログ・コンピュータ(絞り込み)の新たな始まりである。ゆるやかな境界で広い範囲から答えを掬いとることで、本当に意味のある問いと、それに値する価値ある答えを明確化してゆくからである。

 

 石原慎太郎氏が本当にそうであるかはわからないが、江藤淳氏は彼を「偉大なるアマチュア」と評した。江藤氏はそれを「無意識過剰」(天才的に過剰)の能力としている。あらゆるもののプロ(思い込み)になれる120パーセントの資質を持ちながら、どれにも注力集中せず、次から次へと興味を変え、破滅するどころか成功してしまう人間としている。

 

参考

「学びと何か」〈探究人〉になるために  今井むつみ 著

チューリングの大聖堂」コンピュータの創造とデジタル世界の到来  ジョージ・ダイソン 著

「現代の文学」月報集   講談社文芸文庫 編