基礎学と底上げ

『教育制度と勉「弱」社会』竹内洋氏の考察は示唆に富んでいる。

 

日本の戦後教育は、エリート校とノンエリート校の分断的選別(優生学)ではなく、傾斜的選別システム(努力型)から平均的全体的な学力の底上げがなされてきた。

 

しかし近年、「適正」という優生学のような「専門的」分断的選別が主流となり、比較可能な傾斜から自己の全体的位置が読めない状況になったため、底上げできる教育基盤を失ったと考えられる。

 

西欧でも「卓越性」は、専門性や優生学ではなく、「自由学芸」の「基礎学」を底上げとしてきたのである。学が相互作用しない現在、日本の資本主義はエリートと呼べる業績も、卓越性という横断性も持ちえない低下のなかにあるのが実情である。

 

参考

「日本型資本主義」どうなる どうする 戦略と組織と人材   有斐閣