テクスト(受信者)

テクストには「言われていないこと」が織り込まれている。ゆえにそれ自身の「受信者」が要請される。テクストはそれを顕在化する何者かに向けて発信される ー たとえこの何者かが具体的かつ経験的に存在することが期待されない(あるいは望まれない)としても。もしテクストが要請もせず、、その生産を助けない読者に帰せられるなら、テクストは(実際以上に)読めないものとなるか、さもなければ別の書物になってしまう。

 

「成文法」は権力の濫用を防止する明確な自覚に立っている。つまりテクスト化には「公開」という制限(受信者の存在)が課せられているのである。つまり法としてのテクスト(成文法)は、自然法でも、神の法でも、自明の真理でもない。そこに権力の能動者はなく、受信側の自由な創造に向けて公開されているのである。

 

「貨幣」もまた「制限を与えられた公開」である。それにも「言われていないこと」が織り込まれている。受信者(貨幣の受けて)はその生産的手助けをするのである。もしそうでなければ、貨幣というテクストは(実際以上に)読めないものとなるか、さもなければ「別の書物」になってしまうからだ。

 

参考

「物語における読者」   ウンベルト・エーコ 著

立憲主義について」成立過程と現代   佐藤幸治 著

ケインズ理論とは何か」市場経済の金融的不安定性   ハイマン・P・ミンスキー 著