資本主義における金融資本の役割は終わった

自然の趨勢として「緊縮」ということはあり得ない。以上。それが本書だ。

 

現代政府は私欲をあまり抱かないので、投資のための市場を「クラウディング・アウト」することはない。ゆえに今ある姿は、本当は公的債務危機ではない。銀行危機が巧みに公共部門の危機へと転換されているに過ぎない。成長できない、拡大・拡張できない銀行はすでのゾンビ企業であり、病である。金融は緊縮することで延命することを責務とする逆説的存在ではないからだ。

 

本書は珍しく、金融資本時代に銀行の終焉論を説いている。そのかわりに「拡張的財政再建」を説く。善意は裏目に出る、そこからモラール・ハザード取引(緊縮取引)が生まれたからである。そこに自由主義経済は自由を失い萎縮・失速した。

 

拡張財政再建なしに銀行を救済してはいけないと本書は説く。逆に予算削減では銀行危機が防げないとも言う。このことは資本主義が金融資本的成長段階を終え、次の段階に差し掛かっていると言える。

 

金融資本の次に来るのは、「財政による拡張的健全化」。それはケインズ政策の復古ではなく、「ベーシック・インカム」である。

 

参考

『緊縮策という病』「危険な思想」の歴史  マーク・ブライス 著