杉原千畝(危機管理能力)

本書から来る「優しさ」と杉原千畝氏から来る「優しさ」が同じものだからこそ、その行動のすべてに命が通い、よりわかりやすい歴史の説明になっていると思う。

 

杉原氏の「6000人もの人々の命を救ったヴィザ発給」は有名であるが、そこには「バルバロッサ作戦」における日本・ドイツ・ソ連の関係理解も必要であった。そこですべてを知った杉原氏は、「日本の立場」を自問自答していた。日本は利用されていたからだ。

 

彼の諜報活動は、戦うためでも、勝つためでも、金の流れのためでもなかった。それは「危機管理」・「危険予知」の活動であった。

 

彼は「命の危機」にある同じ立場の人々から信頼を得て行動した。その信頼は他国民からの情報として恵与された。ゆえに彼は他国の人々の命を救ったのである。

 

彼が大切にしたのは「人の命」である。ゆえに彼は協力者の命が危険にさらされないように最大限の努力をした。信頼してくれている人間の命を最重要視した。協力者が危険にさらされていると知ったとき、彼はその痕跡を断つために自ら築いた地位をも捨て、沈黙を守ろうとしたのである。

 

彼は英雄ではない、優秀な危機管理として、危険予知を諜報したのである。

 

 参考

「戦争と諜報外交」杉原千畝たちの時代  白石仁章 著