逆説の検証

クロード・S・フィッシャー氏の「アーバニズムの下位文化理論」では、都市は人を孤独にはしない。都市は弛緩を許し「逸脱」「非通念化」を許し、村落とは違う「構造的に分化」した下位系体に新たな出会いをマイノリティとして見出すと。これは過去の再来、過去の継続、あるいは現代的「逆説」説である。

 

そしてマーク・マゾワー氏もまた現代の逆説を説く。国際連盟国際連合の役割を創ったのは、アメリカではなく、皮肉にも「帝国」たるイギリスの存在感であると。ゆえに国連がいま国家主権論のなかで瀕死の状態にあるのは、帝国という歴史的な国際平和秩序ではなく、アメリカ的な「単独」覇権だったからであると。そして氏がいまイギリス連邦に理想像を、そして国連の復活と国際平和に「写し込む」のは明らかに「逆説」説であると言える。

 

人生が仕事なら、その発想力は十分伝わる。ケヴィン・ウィルソン氏の本署には現実にはありえそうもない実にすっとぼけた仕事がたくさん登場する(本書解説)。しかし現実にはそのような「心」の仕事が大半を占めていることで、この「逆説」は「腑に落ちる」のである。

 

参考

「都市の舞台俳優たち」アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって 田村公人 著

国連と帝国」世界秩序をめぐる攻防の20世紀  マーク・マゾワー 著

「地球の中心までトンネルを掘る」  ケヴィン・ウィルソン 著