「資本家とスポンサー」 ーその差異の歴史的解明ー

演奏会の「成長」は、オペラや演劇などの「巨額組織」からの離脱(簡易自由化)にあった。通説のように巨大化して繁栄を加速したのではない。

しかもそこから資本たる「入場券前売制度」が逆説的に生まれている。巨額組織のほうが、運転資金としての資本を必要としそうだが、事実はそうではない。

前売券制度が採用されたのは、実践的な面から来ていた。演奏会の「スポンサー」は、会場に押し寄せる群衆の混乱を何とか避けたいと思ったのがその一つだ(予測)。そしてもう一つは経済的なもので、音楽家に出演料を上げさせる口実をつくったのである。

しかしその背後にあったのは、中産階級のいや増す階層意識の自覚が隠されていたことだ、と本書は説く。つまり新興中産階級の新しい「エリートの身分」のイメージを示すために、入場料階層化(差別化)の多自由化と、演奏会数の爆発的増加が成長に必要だったである。そしてそれは歴史的にスポンサー(資本家の真実の前身)の構造化をも手助けしたのである。

 

(この本文を自分なりにさらに考えてみると、まだまだ発見の余地はたくさんあるはずだ。)

 

参考

新装版「音楽と中産階級」ー演奏会の社会史ー   ウィリアム・ウェーバー 著