歴史哲学再考

歴史哲学のカテゴリーは、因果性・自由・必然性である。

 

人間自体は自由であるが、しかし人間は自由であるゆえにその影響をお互い受け、依存的諸物の体系(因果性)の中に偶然的に閉じ込められる。そしてそれゆえにさまざまな仕方で自由も失う。これが人間の活動の普遍性である。

 

そしてこの自由の影響を受ける偶然的個人(因果性)が歴史的必然性である以上、「人間の自由」に対する考えは弱まり、「人間を打ち負かす」必然性についての考えがより強くなるのもまた歴史的必然であった。

 

戦争では多数の人間による事物の普遍的進行には少しも留意せず、個人的な現在の関心や刹那の関心に突き動かされた。しかしこれが当時の人々に、「普遍性」に対して考えうる最大の利益をもたらしたのも事実である。当時、啓蒙にはじまり戦争に終わったというのは嘘である。戦争の終わりに啓蒙は始まったのである。

 

自分の生命と財産を守ろうとした人々もいたが、またこれを投げ捨てた人々も確かにいたのである。この両義的二律背反の認識・発見(啓蒙)は、その結果「壮大な出来事」が或る不可避なこと、予定されたこと、合法則的なこととして生じたことを、当時は実践的につかんでいたのである。

 

 参考

「カント」その生涯と思想  アルセニイ・グリガ 著

戦争と平和」  L・N・トルストイ 著

実践理性批判」 イマヌエル・カント 著