リスクと自由

経済学者が楽天的であるのは、全世界で「権利革命」がいまだに進行中だからだ。公民権や政治的権利がまだまだ向上してゆく過程で主に形成されるものに期待しているからだ。権利革命の継続は持続可能性であるゆえに、そこは経済以上に慎重ではあるが。

 

リスクに対して強い予防措置を取ることは不可能である。そしてまさに危険を取り除こうとする努力それ自体によって、かえってリスクを増大させることもしばしばある。過剰な予防措置を講じることによって、恐怖の選別性は確率無視によって悪化される。「恐怖の過剰と不足」という両問題は「自由」に対する不当な侵害を生み出す。恐怖は最もグロテスクな類の人権侵害をもたらすからだ。

 

経済の悪化傾向を過度に主張することは、格差ばかりではなく、前提としての権利革命そのものを先制的に侵害してしまうからだ。

そして予防措置の先制もまた、民主主義の前提である「自由」と私的生活を奪うものとなる。

 

 

参考

「経済学者、未来を語る」新(わが孫たちの経済的可能性) イグナシオ・パラシオス=ウエルタ 編

「恐怖の法則」予防原則を超えて    キャス・サンスティーン 著