雇用の経済学

資本主義の展開にともない、「自営業」(自衛業主+家族従事者)の割合は減少した。自営業の衰退は、学歴主義を強め、学歴社会の成立に寄与した。自営業の衰退は、「通俗道徳」の衰退をもたらした。通俗道徳の衰退は、学歴主義に対抗する「倫理観」が衰退することを意味した。しかし自営業の衰退は、「雇用の世界」が拡大すること意味した。それゆえに「大会社の雇用慣行の基礎」は、学歴主義的価値観を社会的ドミナントの価値観としたのである。

 

つまり学歴社会は、自営業に学歴主義的価値観が浸透した結果として成立したのではなく、自営業が衰退し、「雇用の世界が拡大した結果」として成立したのである。

 

そしてこの「学校から職業へ」というねじれの中から現代、「学校・家庭・職場」という「項目のメンタルヘルス」が「中心」に生まれたのである。

 

現代社会はまだまだ進行している。しかしその進行は今度は「逆説的」となる。いままで学歴社会は、「雇用の世界の拡大」を促すものとして、「全要素生産性」(科学技術進歩)と同じように「庇護」されてきたが、もはや先端たるIT革命技術に到っては、雇用機会を確実に減らしつつある。

 

このまま過去のように雇用問題を楽観的に乗り切れるかどうかわからない状況にある。これは現代の景気停滞にまちがいなく通底している出来事である。

 

参考

「機会との競争」 エリック・ブリニョルフソン アンドリュー・マカフィー 著

「学歴主義と労働社会」  野村正實 著

メンタルヘルス」  藤本修著