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境界性

「どこかに悪い人間がいて悪事ばかり働いているなら、彼らを隔離して絶滅させればよい。だが善と悪を分ける境界線は、あらゆる人間の心の中にあるのだ。自分の心を隔離して破壊することを望む人間がいるだろうか」    アレクサンドル・ソルジェニーツィン

 

「人びとがお互いに自由であればあるほど、他者の振舞いを決定しようとする相互的な欲望も大きくなります」    ミシェル・フーコー

 

「否認」の重症化は「病識欠如」である。過度な否認は「異常」ととらえられる。

しかし自分にとって都合の悪い事、違和感を覚えるものを否認するのは、ある意味正常なことである。何かしっくりこないものに対する「気づき」がある程度欠如している状態、つまり「鈍感」なことは心理的に「正常」である証かもしれない。

過酷な「ストレス」に対し、「癒し」がなければ、「鈍感」な部分が救いになる。しかし「介入」をまったく「放棄」してしまうことは、「人間社会の利益にはならない」というのが、現代の「境界性」問題である。

 

参考

「悪いヤツほど出世する」     ジェフリー・フェファー 著

『自分の「異常性」に気づかない人たち』病識と否認の心理    西多昌規 著

オセロ

それは「歴史」を学ぶことでも「起源」を知ることでもない。それは「温故知新」に似ている。遡ることは新しく生まれ変わることだ。

本居宣長氏の「妙理」は、常理の延長、「サクセスフルエイジング」ではない。それは「結果」よりもむしろ「過去の記憶」へと逆行する。そしてそれは重要な人生の出来事の再発見と再定義をする、つまり再解釈により「道」をつけるという「道の学問」である。「学」とは新しい意味を加わえることになる。

もしこの世に見出せないものがあったとしたら、また道を辿ればいい。何度も過去を解釈し直すのだ。そしてそこに自分が望んだ自分を見いだせれば、それは勝利の道に啓けた確かな模様である。

 

参考

本居宣長」近世国学の成立    芳賀登 著

「老年的超越」歳を重ねる幸福感の世界   ラーシュ・トーンスタム 著

無縁ではない物理

 

歴史レンガの言語はストライプ同様、「段逃げ」という隠喩構造を建築に示唆した。

人物を特定するためには最低150個のドットが必要だ。それより少なくても、顔に見えるような何かを描くことはできるが、それが誰かという情報はあまり伝達できない。

僕が僕であるために「刻印」された「積み重ね」がここにはある。

 

参考

僕が僕であるために」   尾崎豊 歌

スーパーリアリズム」  チャック・クロース 画

「ストライプ」が先か「モアレ」が先か

「等間隔のストライプ」は最も単純な「図地反転」であるが、これは「織物機械技術」と「視覚」の双方に革命を与えた。「級数」の概念はここから飛躍していく。

「テキスタイル」の歴史があらゆる産業技術の歴史の優れた代弁者と言われるのは、それが資本主義的な「物欲」を満たし、流行に遅れないようにという焦燥感を煽るにうってつけな魅力(錯視)を創造したからでもあるが、等間隔のストライプ(縞)のインスピレーションは、「スピードと抽象的な思考」の推進において文字通り道筋を与えたからだ。

この「連続性とプリント力」の同時性は現代数学集合論を多義化した。そしてジャカード機械はコンピュータにゲシュタルト的視覚直観(自動化と制御)を授けたのである。

私は起こりうる複雑性にはあまり興味はない。曲の構造は方眼紙のようなものだからだ。我々に最初から光は必要ない、錯視で十分だからだ。

 

アルバート・アインシュタイン氏は言う。

「宇宙というものを、なにものかである永遠なる無へと膨張し続ける物質として受け入れることができたなら、縞模様と格子柄を一緒に着ることなど大したことではない。」

 

キーワード:ストライプ 産業革命 錯視 モアレ コンピュータ

 

参考

「模様と意味の本」明日誰かに離したくなる模様のはなし   ジュード・スチュアート 著

ゲーデルエッシャー・バッハ」   ダグラス・R.・ホフスタッター 著 

社説と時間と実在と

時間は実在しない。それは日本になじみ深い観念論だ。

時間には矛盾があるゆえに、ウィトゲンシュタイン氏の「独我論は語りえない」という答えが生まれる。私も時間は実在しないと思っているが、理由はちがうので説明する。

私は下記を自分なりに説明してきた。しかし時間は実在しない。

(上半期)

1、パナマ文書が暴いた世界的な隠蔽ゲームの真相

2、三菱自動車の燃費試験データ不正問題

3、介護施設で起きている虐待

4、特定秘密の運用監視

5、児童虐待の被害者を救うために

 

(下半期)

1、英国、再び孤立状態へ(EU脱退)

2、ドラゴン出没注意(第45代アメリカ合衆国大統領選)

3、朴大統領のスキャンダルに揺れる韓国

4、小池都知事、当選後の課題

5、南スーダンに派遣される自衛隊への新たな命令

6、迫る日銀金融政策決定会合と日本経済の行方

 

参考

「時間の非実在性」   ジョン・エリス・マクタガート 著

「The Japan Times 社説集2016上下」   ジャパンタイムズ 編 

投影の方法

全ては「露呈=展示」されており、そこに表象はなく、ただ見られるために存在している。この「エクスポジション」には「思い描くはたらき」は存在しない。「共同体」の「表象」は見えてこないのだ。

しかしこれも絵画の定義からすれば当然の実現である。絵画は描く対象そのものをなぞったものでもなければ、描く対象を直接見て描いたものでもなく、人の「影」の輪郭線をなぞることから始まったとされるからである。

つまり「自体」に目を向けることなしに、あえてその「投影の方法」を利用したのである。絵画の誕生はこの「陰画=否定」「不在/現前」(身体の不在、身体の投影の現前)である。

「腐敗的字幕」という翻訳の現象にも、「非対称バイリンガリズム」(一方の言語がもう一つの言語より強い)という学習年齢の「マッピング作業」が平面上に現われる。大人時の「言語学習」の方が子供時の「体得」よりもはるかに「方法」を知っているからだ。

また「回析法」や「分光法」は「ミクロな測定法」であるが、「熱分析」は「得る」マクロな測定法であることから、「何が起こったか」を理解する「回析法」や「分光法」という方法が、後に必要になった今日的意味がここで分かるのである。

 

キーワード:光と影 マッピング ミクロとマクロ 熱

 

参考

「共同体のかたち」イメージと人々の存在をめぐって  菅香子 著

「翻訳通訳研究の新地平」    武田珂代子 編著

「熱分析」第4版    吉田博久+古賀信吉 編著

大統領の誕生(多数決を超えて)

今回、勝った方も負けた方も、まるで自分たちの大統領ではないかのように感じられたはずだ。

負けると決まっていた?勝つと決まっていた?その「多数決の原理」を不可解に超えて、「予測」を裏切るように今回の大統領は生まれた。

しかしアメリカの「大統領制」は、今回「定義」通りに、アメリカ史上はじめて「実現」したのである。「誕生」は奇妙だが、その「実現」は当然であり奇妙ではない。

なぜなら、アメリカが大統領を置いた理由は、「多数決」原理に歯止めをかける「良識」から誕生しており、ポピュリズムという「有権者」の「多数決」とも決別していたからだ。

知られざるアメリカをアメリカ自身も知らなかったのである。

 

キーワード:大統領の理念と議院内閣制の差異 行政府と立法府の厳格分離 多数決への歯止め  マイノリティ アメリカ自身の教訓

 

参考

「アメリカ分裂」数字から読みとく大統領選挙     井田正道 著

「アメリカ大統領の権力」変質するリーダーシップ    砂田一郎 著

新版「アメリカ政治」    久保文明 砂田 一郎 松岡 泰 森脇 俊雅 著