視野

本書は秀逸である。

「回転運動」というヨーロッパ文化の特徴は、垂直志向という人間中心主義であった。

上に引き上げる装置(綱と滑車)は積み上げというバベルの塔を生み、窓もそれゆえ「落とし格子」のイメージであり、それがエレベーターと鍵の思想を生む。一望監視システムと一つの鍵による個室化管理を生んで行くのである。

しかし日本は遮断という個室文化ではなく、窓も障子も引く「風通しを良くする」ための調節文化であり、水平思考であった。

本の窓にはもともと自然観の取り込みがあったが、電灯の導入は、明るさへの合理的渇望から、天井(垂直志向)から吊るされることとなり、ヨーロッパのように間接照明や局部照明にして、伝統の雰囲気を守ることを、逆に、簡単に失ってしまったのである。

 

参考

「窓」の思想史』    浜本隆志 著

双方向の逆流

本書は今後のレイヤー管理の本質を示す。

地図からマップへ。

1、地図にグラフィックスなデザインが施された。

2、地図の専門家からグラフィックアートやイラスト専門のデザイナーへ。

3、行政区分からエリアマップへの細分化。

4、エリアであるとともにテーマでの切り取り。

 

主題地図は、「いま・ココ・私」を見つけだす個人化を示し、社会を見渡す「ズームアウト」への欲望そのものを衰退させた。

今後、「いま・ここ」を掘りさげ、ねつ造する虚構(仮想現実)ではなく、「拡張現実」の時代を生きるためには、ポストマップとして、各ユーザーがレイヤーとしてマップ生成を、他者と簡単に共有できるようなツールが求められる。

 

参考

「グーグルマップの社会学」    松岡慧祐 著

代替不可能性と表現者

本書はインサイダーの害からアウトサイドの出口を示す。

当然のことながら、自分は自分以外の何者でもなく、他人と入れ替わることはできない。だから、人は「なにかになりたい」と憧れを抱き、その理想像にみずからを近づける努力を続ける。

 

1、独自の手法で、対象からの距離を測り、別のやり方で我が身に取り込むことを試みる。

2、自分ではない別のなにかに自己を投影することで、現実世界を巧みに生き抜こうとする。

 

参考

「アウトサイド・ジャパン」     櫛野展正 著

連続性・交点・数(歴史分有論)

エウクレイデス氏は描く。

円は現代人が想像しがちなように、「ある1点からの距離が一定であるような点からなる図形」ではない。

エウクレイデス氏は線を「幅のない長さ」と定義し、ここにはすでに我々が「連続性」と呼ぶ性質、すなわち2つの線が交われば交点があることが含まれていた。

非共測量をすでに知りながらも、アリストテレス氏が「万物は数」であると要約した理由はここにある。

また、比の大小の定義に、アルキメデスの原理(エウデクソスの原理)は有効性を認められていた。

何と比較するのかは、直接数ではないが、数はあきらかに内在原理であった。

 

アリストテレス氏は言う。

可能的あり方において、素材的なものそれ自体が消滅することはなく、むしろそれは絶対に消滅することのないものである。

それをアリストテレス氏は「同数の動物たちの場合にも、数としては同じであるが、数の種差においては異ならないが、何について10と言われているのかはあきらかに異なっているからである。」と説明する。

「したがって一つの運動変化でありながら、時間的に無限なものは、ただ一つのもの以外にはあり得ない。その一つのものとは円運動である。」と。

 

キーワード:ミンコフスキーダイアグラム

 

参考

「エウクレイデス全集」第1巻 原論Ⅰ-Ⅵ      斎藤憲 三浦伸夫 訳・解説

岩波書店アリストテレス全集4」自然学       内山勝利 訳

不確実性=分有=確実性(現在・過去・未来)

確定性への志向という自然な性向に由来する「死の所有」の虚想により「現世視点」を確保することで、不確定性のなかで生きる現実のあり方に、あらためて眼差しを向けることができる。

「死の所有」という主体の想定は、彼岸視点へとわずかながら結ばれていることへの暗号である。

死による別離は「分ける」試みであるが、その先は彼岸であり本来は分からない。つまり「分ける」というこの対称性は非対称性であり、基本的に「分からない」を意味する。

しかし「被害可能性」の「因果連続モデル」は、未来をも現在において「分有」させることを予感させるので、その意味で「モナドジー」のように、「死の形而上学」においても、すべてはすべての存在に分有されている多様性の中で、別の意義があるとも考えられるのである。

 

 参考

「死の所有」増補新装版     一ノ瀬正樹 著

フォロワーの存在と多様性

ウェブの機能が拡張すればするほど、コミュニケーションはよりパーソナルなものになっていく。より密接な関係を築きあげる言葉の技術はますます必要になる。

多くのフォローワーを生んだ日本における広告制作は、デザイン思考のロールモデルとして始まり、発展していったのである。

コピーはこうして広告デザインとともに進化し始めたのである。そしてそれは漫画の吹き出しにも似た特殊な効果的言語となる。

 

参考

「コピーライターほぼ全史」     東京コピーライターズクラブ 編   鈴木隆祐 取材・文

水平地域経済論と言う新しい知見について

従来の「キャッチアップ型工業化論」から東アジアをたどるのではなく、占領下の水平地域経済の構造が、日本の総合商社貿易を通じ東アジアと結び、自立的エネルギー資源を立ち上げることなく、エネルギー問題としての工業化とはまるで無縁な工業化を達成したことに対し、それを新しい状況としていま提示することは、新しい知見である。

 

参考

「世界の工場への道」20世紀東アジアの経済発展      堀和生 萩原充 編